領有権問題の環礁、グーグルマップが中国名を削除
香港(CNN) 米グーグルは15日までに、地図サービス「グーグルマップ」で、中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海のスカボロー礁について、中国名の「中沙諸島」という表記を削除したと発表した。
フィリピンの市民からの抗議を受けて表記を変更したという。オンライン署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」で嘆願活動が展開されていた。
スカボロー礁のフィリピン名はパナタグ。グーグルの報道官は、領有権争いのある地域の呼び名については中立的な立場を取るという「長年の方針」に合わせた修正だと説明した。
これに対して中国版ツイッターの「新浪微博(ウェイボー)」では、反発したユーザーらが「携帯電話やコンピューターからグーグル製品を削除して、グーグルを中国から追い出そう」などと呼び掛けた。
グーグルが領有権争いに巻き込まれたケースはこれが初めてではない。2010年にはニカラグア軍の司令官が、グーグルマップに記載された国境線を根拠に、コスタリカ側へ侵攻する事態も起きた。
中国は南シナ海で東南アジアの数カ国と領有権を争ってきた。中国が埋め立てを加速したことに対し、米政府からも中止を求める声が上がっている。
フィリピンはこの問題で常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に司法判断を求めているが、中国は同裁判所に管轄権はないと主張。14日にはフィリピンに対し、手続きを取り下げて直接交渉に応じるよう求めた。