本当は高級料理? カンボジアでタランチュラのフライを堪能
(CNN) 口から垂れ下がったタランチュラは死んでいるようだが、やはり恐ろしいことに変わりはない。客観的にみると味はそれほど悪くなく、カニのようだ。ただ、味は見た目やにおいの影響を強く受けるとする科学者らの見方を踏まえると、この毛むくじゃらのけだものを目にした瞬間に私の心が決まってしまっても驚くことではないだろう。
「気持ち悪い」
カンボジア北西部シエムレアプで、専門家の指導のもと、伝統的な調理法でタランチュラをフライにした。だが、結果は同じだった。ニンニクのにおいと風味だけでは、悪夢のようなその外見を克服することはできない。
アジアの一部では変わった写真を撮りたがる旅行客向けに、虫を調理したものが観光地で売られている。ただ、現地の人の大半は実際には、こうした虫を食べるのが好きではないことが多い。観光客からお金を引き出すための策略に過ぎない。
しかし、カンボジアのタランチュラの場合は事情が異なる。タランチュラは珍味とされており、大きなものは最大で1ドル(約112円)で売られている。最低日給が約6ドルの国にあっては大金だ。
料理講師のアウチ・ラタナさんはシエムレアプの路上でタランチュラの揚げ物を売って生計を立てている。アウチさんは英語通訳を介し、カンボジア人は本当にクモを食べるのが好きだと指摘。数十匹が売れる日もあると話す。冷えたビールなどのつまみとして最適だが、非常に高価なため誕生日など特別なイベントのときにしか食べないという。
タランチュラがカンボジア料理に取り入れられたのは必要に迫られてのことだ。