アメリカンドリームの実現、日本よりも難しい? 国際調査
ニューヨーク(CNNMoney) 貧困世帯に生まれたとしても懸命に働けば中流以上の層に上り詰めることができる――。そんなアメリカンドリームの実現は、実際には日本やドイツ、オーストラリアなどの先進国に比べて難しくなっている実態が、カナダ・オタワ大学などの経済学者が実施した調査で浮き彫りになった。
この調査では、世界各国で親の世代と子の世代の所得の相関関係を示す「世代間所得弾力性」を数値化し、貧困世帯の子どもが中流層や富裕層に移動するといった世代間の階層移動がどの程度あるかを調べた。
その結果、子の世代が親の世代の階層から抜け出せないまま同じ階層にとどまる確率は、主要先進国の中では英国とイタリアが最も高く、次いで米国の順だった。
日本での確率は米国やフランスに比べると低かったが、カナダやデンマークよりは高かった。
子の世代が親の世代と同じ階層にとどまる確率は、社会的格差が大きいほど高くなる。これは富裕層には子どもの塾や課外活動といった教育費にお金をかける余裕があるのに対し、貧困層にはその余裕がないなど、さまざまな要因に起因する。
このため中国、インド、南米諸国などでは世代間の移動性が低く、子の世代が親の世代と同じ階層にとどまる確率が高かった。
今回の結果について、米ウィートン大学の経済学者、ジェイソン・ロング氏は、「米国人は今でも自分たちは移動性が極めて高いと信じているが、それは真実ではない」とコメントしている。