仏裁判所、ブルキニ禁止措置を凍結
(CNN) フランスの一部自治体でイスラム教徒向けの全身水着「ブルキニ」の着用を禁じる動きが広がっていることをめぐり、同国の行政最高裁判所である国務院は26日、首長らにブルキニ着用を禁じる権利はないとの判断を示した。
国務院の今回の判断により、南仏ニースに近い町ビルヌーブルベでは、ブルキニの着用を禁じていた措置の効力が停止する。ブルキニ着用を禁止してきたフランス各地の都市にも影響が及ぶ可能性がある。
フランスでは国内30以上の自治体がブルキニの着用を禁止している。主にイスラム教徒の女性が着用するブルキニの着用を禁止した狙いについて、当局者らは、テロをめぐる懸念の増大や、相次ぐテロ事件を受けて緊張が高まっていることに対応した措置だとしている。
フランスでは先月、南仏ニースでトラックが暴走し80人以上を殺害する事件が発生。同月には仏北部で86歳の神父が襲撃者らに殺害される事件も起きた。
人権活動家らは、ブルキニの着用禁止措置は違法だと主張。ブルキニの違法化を推進する動きはイスラム恐怖症に駆られたものだと指摘する。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルをはじめとする人権活動家らは、重要な一歩だとして今回の判断を歓迎した。
ただ、ブルキニ着用を禁じている他の自治体が今回の判断にどう対応するかは不透明だ。首長らがこうした条例を引き続き施行・制定すれば、同様の法的問題に直面する恐れがある。
フランスのマヌエル・バルス首相は、ブルキニ着用禁止への支持を表明。一方、次期大統領選への立候補を表明しているニコラ・サルコジ前大統領は、ブルキニの着用を国家レベルで禁止する法律を即座に制定する意向を示している。