EU大統領、「トランプ米政権は脅威」 中国やロシアに匹敵
(CNN) 欧州連合(EU)のトゥスク大統領は31日、米国のトランプ政権を中国やロシアと並ぶ「脅威」と位置付けた。欧州で多くの人が思っていたことを口に出した形で、米国とEUの亀裂が一層深まる可能性もある。
トゥスク大統領はEU加盟国に宛てた書簡の中で、トランプ政権を中国やロシア、テロリズム、イスラム過激派と並ぶ脅威と位置付け、「米新政権による憂慮すべき宣言の全てが、我々の未来の不確実性を高めている」と指摘。「米政府の変化によって、欧州連合は困難な状況に立たされている。新政権は、過去70年間の米国の外交政策に疑問を突き付けているようだ」と分析した。
過去70年にわたって密接な同盟を結んできた米国についてトゥスク大統領がこのように形容するのは、外交慣例上は極めて異例だが、私的な理由から地政学的な背景までさまざまな事情がある。
トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)を「時代遅れ」と切り捨て、EUの28カ国を「ドイツのための乗り物」と形容。実業家だった時代はEUとの間で「非常に悪い経験」をしたと発言していた。
こうしたトランプ大統領の発言はEUをないがしろにするだけでなく、NATOの弱体化を望むロシアを利することになり、欧州と米国の同盟関係に緊張を生じさせかねないとの懸念もある。