ロシア・中国・シリア――トランプ米政権が驚きの方針転換
ワシントン(CNN) 米国のドナルド・トランプ大統領が国際政治や安全保障などの分野でこれまでの方針を大きく変更する姿勢を見せている。トランプ氏は昨年の大統領選では「アウトサイダー」の立場を取って「エスタブリッシュメント(既得権層)」を批判するなどして支持を集めていた。
トランプ氏は12日、大統領選などで「時代遅れ」などと批判していた北大西洋条約機構(NATO)について「もはや時代遅れではない」と述べた。また、中国に対しては「為替操作国」と非難していたが、今回認定を見送った。
また、それより前にはシリアのアサド大統領について、退陣を求める姿勢を見せてはいなかったものの、民間人に対する化学兵器使用疑惑が起こると、トランプ氏はアサド大統領を「殺りく者」と呼び非難した。このことから、トランプ政権はシリアで政権交代を望んでいるのではないかとの見方が出ている。
こうした姿勢はロシアと対立することになる。
トランプ氏は大統領選期間中、ロシアとの関係改善の可能性を示唆していたが、12日の記者会見では、「現在、ロシアと米国とはうまくいっていない。ロシアとの関係は史上最低かもしれない」と述べた。
これとは対照的に、先ごろ米フロリダ州で会談を行った中国の習近平(シーチンピン)国家主席については称賛の言葉を贈った。北朝鮮の核問題などについて協力を得られると信じているとした。
トランプ氏は選挙中、中国が米国経済を「レイプ」していると非難し、就任初日に中国を為替操作国に認定すると主張していた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長については、任期を終えたら後任と入れ替えるとの考えを明らかにしていたほか、政策金利を低水準に維持していることについて、オバマ前大統領に対する応援だと批判していた。
しかし、トランプ氏はこのほど、自身も低金利政策が「気に入っている」とし、イエレン議長の任期が切れる2018年初め以降も再指名するかもしれないとの考えを明らかにしている。