EU、ロシア凍結資産をウクライナへの兵器調達で活用承認

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ロシア軍に向けてD30りゅう弾砲を発射するウクライナ兵/Serhii Nuzhnenko/Radio Free Europe/Radio Liberty/Reuters

ロシア軍に向けてD30りゅう弾砲を発射するウクライナ兵/Serhii Nuzhnenko/Radio Free Europe/Radio Liberty/Reuters

ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)は28日までに、ロシアの凍結資産の利子や配当を活用しウクライナへの兵器供与などの資金とする提案を承認する決定を首脳会議で下した。

ウクライナ向けの兵器弾薬の確保に年間で最大30億米ドル(約4530億円)費やすことも盛り込んでいる。

提案はEUの行政機関、欧州委員会によるもので、承認を受け、今後はウクライナへのこの方式での援助を進める手順を詰める段階に進む。オーストリア、アイルランドやマルタなどウクライナ情勢をめぐって軍事的に中立な立場を維持する加盟国の間の懸念に配慮した措置ともなっている。

欧州委のフォンデアライエン委員長は記者団に、ロシアの凍結資産から生じる利益を兵器調達の資金として使うことへのEU指導者たちの「強い支持」を称賛。「資金は今年7月1日までに捻出が始まるだろう」とも予測した。

EUは昨年末、ロシアの凍結資産に伴う利子などをウクライナの復興資金に充てる計画を立案し、先月に原則合意していた。また、EU高官は、利子などを平和の構築目的に拠出される基金「欧州平和ファシリティー」(EPF)の資金として組み込むことを求める声が欧州諸国の大多数にあり、その数は増えているとも記者団に明かしていた。

EPFは2021年に創設されたもので、EUによる国際規模での防衛や軍事的な措置の財源となっている。EUの一般予算と異なり、武器購入も可能となっている。

EUが今回承認した欧州委の提案は、先月に基本合意に持ち込んだ計画と比べ、ウクライナへの総合的な復興支援と言うよりウクライナ軍への直接援助も組み入れている点で踏み込んだ内容ともなっている。

それだけに軍事的に中立な立場を保つアイルランドやオーストリアなどにとってはそのままのめない提案となっている。オーストリアのネハンマー首相は首脳会議前に記者団に、ロシアの凍結資産から生まれる利益の使途への同国の承認に当たっては「兵器弾薬の調達に差し向けられないような保証が必要」との見解を表明。

首脳会談の終了後には、利益の使い方は今やEU当局者次第としながらも、中立的な国家の立場を尊重する配慮を求めもとした。

ウクライナへの軍事支援の強化についてはここ数カ月間、EU加盟国への圧力が高まってもいる。軍事援助の要でもある米国で議会の党派対立が続いて新たな支援が打ち出せず、ウクライナではロシアの優位な戦況が伝えられる情勢が生じている。

ロシアが22年2月、ウクライナに軍事侵略したことを受け西側諸国はロシアが保有していた外貨準備高のほぼ半分、数字にして約3000億ドルを凍結する制裁を発動。このうちの約2000億ドル分は欧州内に、大半は欧州域内で有価証券などの決済処理を担う清算機関「ユーロクリア」(ベルギー)が管理しているとされる。

同機関は先月、ロシアの凍結資産による利子は52億ユーロに達したとも発表していた。

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