日本語脳になじむ英語学習法 一瞬で英語脳にする技術
想像力を脳の活性化の起爆剤にする
語学学習において重要な、想像力=創造力を再活性化させる方法をご紹介したい。
昔は大喜びしていたことも、今は新鮮味が全く感じられないということもあるだろう。感動する心が鈍くなってしまうのが記憶力衰退の原因だ。「あっ、そんなこともう知ってるよ。」と侮る気持ち。これが、脳に新しい刺激を入れるのを阻止し、まだまだ活性化できるはずの脳の成長を阻む原因なのだ。知ったかぶりをすることは学ぶ心をも奪ってしまう可能性がある。
歳を重ねれば、経験も増す。だから、脳は「予定通りの所作」に慣れっこになってしまっていて、多少の変化くらいでは驚きもしない。だからといって経験豊富な大人が、度肝を抜く驚きを作れないということでは決して無い。
我々の脳の驚くべき機能のひとつに「異物同士を組み合わせる力」すなわち、「想像力」がある。
想像力は「一見引き合わない対極に位置する物同士の足し算」をも可能にしてしまう。「甘い」と「しょっぱい」をうまく組み合わせた「塩キャラメル」が大ヒットしたのも、対極する物同士が上手にマッチングしたいい例だ。
対極する物同士の組み合わせは、いつもうまく融合するとは限らない。例えば、「黒いコーラ」に「白い牛乳」を混ぜると、飲んだことすらないのに、とんでもない味が想像できる。記憶力をより向上させるには、自分でもおかしいなと思うくらいの「強烈なミスマッチ」を浮かべれば、忘れたくてもそう簡単には忘れられない。想像力を司る右脳の可能性は偉大だ。
これからは、対極の物を思い浮かべブレンドさせてみよう。既知の物同士のありえない組み合わせ(=俗に言うところの形容矛盾)を皮切りに、新イメージ、新味覚、新触覚、新感情を開花させ、右脳をフル回転させてみるのがいい。ここまで複雑な作業は感情の無いコンピューターにはできない。右脳に眠る類推力を眠らせたままにしていては実にもったいない。
いままで当たり前に通りすぎてきたことに、真逆の角度の刺激を与えてみることで記憶力=想像力=創造力を再活性化させる。そして外国語学習に積極的に応用する。いままでやっていた英語学習法を根本的に変えてみる。(今も)拒否し続けていることにも、あえて手を出してみる。脳を変えてあなたを変えるのだ。
【著者紹介】
溝江 達英(みぞえ たつひで)
カナダ ラヴァル大学文学部日本語科主任
早稲田大学第一文学部、一橋大学大学院言語社会研究科を経て、カナダ ラヴァル大学文学部言語学科博士課程修了。言語学博士(Ph.D)
英語スピーチコンテスト優勝経験を持つ。英語に加え、仏、独、西、伊、露語も堪能な言語学者である。