機内で一流レストランの味を 「空飛ぶシェフ」が密かな人気
(CNN) ファーストクラスやビジネスクラスの乗客の食事に、機内のシェフが腕を振るう――。一部の航空会社が最近、そんなサービスを導入し始めている。
アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空は昨年末から、長距離便で「空飛ぶシェフ」のサービスを提供している。搭乗するシェフには一流レストランから引き抜いた人材を採用する徹底ぶりだ。その結果、英調査会社スカイトラックスによる航空会社のランキングで、ファーストクラスの食事部門第1位を獲得した。
機内のキッチンは狭く、高度1万メートルでの調理には制限も多い。安全上の理由でフライパンや刃物は使用できないため、地上での準備が大きな割合を占めることになる。また専門家によると、気圧の影響で乗客の味覚は約1割鈍くなるとされ、通常より味付けを濃くするなどの配慮が必要だ。
だがそれでも、エティハド航空の飲食部門責任者は「5つ星レストランと同等のサービスが提供できる」と胸を張る。シェフはファーストクラスの乗客と会話しながら、1人ひとりの好みに合わせた料理や飲み物を勧め、味付けを調節する。ソースや材料を変更することもあるという。
他社に先駆けてシェフ同乗のサービスを導入したオーストリア航空でも、すべての長距離便にシェフ1人が搭乗する。同社の幹部は「優れたサービスを提供することが、ブランドイメージの向上や競合他社との差別化につながる」と強調した。
乗務員にメニューを配られるのと、シェフのあいさつと熱心な説明を受けながら食事を楽しむのとでは、乗客の気分が大きく違うことは確かといえそうだ。