米雇用、8月14.2万人増 7カ月ぶり20万人割る
ニューヨーク(CNNMoney) 米労働省が5日に発表した8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が14万2000人増で、CNNMoneyが調査したエコノミストらのコンセンサス予想の22万6000人増を大幅に下回った。
米国では先月まで6カ月連続で20万人以上の雇用増が続いていた。米フェデレーテッド・インベスターズの株式部門の戦略責任者フィル・オーランド氏は、8月の数値は好調な経済を反映しておらず、いずれ上方修正される可能性が高いと指摘する。
一方、失業率は6.1%で前月から0.1%ポイント低下し、市場予想と同じだった。
今回の統計を受け、市場では連邦準備理事会(FRB)が利上げ時期を先延ばしするとの見方が強まり、株価がわずかに上昇する一方、10年債利回りは低下した。
時間当たりの賃金は、前年から2.1%増加したが、インフレ率をわずかに上回る程度で、労働者が暮らし向きの改善を実感するには不十分だ。
部門別では、専門職や医療など高所得の業種で堅調な増加が見られた。また建設部門の雇用も増加し、住宅市場の継続的な回復をうかがわせる。
一方、製造と小売りは低調で、全体的な雇用増加の足を引っ張った。この点について、米LPLファイナンシャルの主任経済ストラテジスト、ジョン・カナリー氏は、夏の終わりに見られるやや特異な季節変動要因によるものと指摘する。
また職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みながらパートタイムで働く人を含めた、いわゆる「不完全就業率」は12.0%で、前月から低下したものの失業率の約2倍と依然高水準だ。また、労働参加率(生産年齢人口に占める労働力人口の割合)も過去35年以上で最低水準にある。