スイスフラン、対ユーロ上限を撤廃
ロンドン(CNNMoney) スイス国立銀行(中央銀行)は15日、スイスフランとユーロの間の為替レートの上限(1ユーロ=1.2スイスフラン)を撤廃すると発表した。
上限は2011年、ユーロ圏で発生した債務危機により、大量の資金がスイスに流入したのを受けて導入された。スイスフランが急騰して輸出業に打撃を与え、デフレを引き起こすことを懸念したからだ。
「この例外的かつ一時的な手段は、スイス経済を深刻な被害から守った。スイスフランは今も高い水準にあるが、全体としては過大評価は終わった」とスイス国立銀は声明で述べた。
上限撤廃を受けてスイスフランは主要通貨すべてに対して上昇。15日正午の時点で、対ユーロ相場は14%近くまで急騰した。対ドル相場も同様の動きをみせ、1スイスフラン=1.14ドルになった。
これを受けて欧州の株式相場も大きく動いたが、後場にはほぼ元に戻った。
だがスイス国内の株式市場は平均株価が約10%下落。金融大手のクレディ・スイスやUBS、製薬大手ノバルティスや食品大手ネスレなどの株価も10%前後下落した。
上限撤廃のタイミングについては、22日に欧州中央銀行(ECB)が発表するとみられる景気刺激策により、上限撤廃を余儀なくされたとみるアナリストもいる。市場に大量のユーロが流れ込めば、為替介入により固定レートを維持するのはむずかしくなるという。
その一方でスイス国立銀は、ユーロやドルを売ってスイスフランを買う動きにブレーキをかけるため、政策金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%に引き下げた。