JAL、超音速旅客機開発へ 米企業に11億円投資
シアトル(CNNMoney) 日本航空(JAL)は9日までに、超音速旅客機の開発を進める米新興企業「ブーム・テクノロジーズ」に1000万ドル(約11億3000万円)を出資するとの声明を発表した。
この旅客機はマッハ2.2の巡航速度、ビジネスクラス仕様の45~55座席を想定。現在は11時間超となっている米サンフランシスコ、東京間の飛行時間を1カ所での給油寄港を含め約5時間半に縮めるとしている。
実用化は2020年代半ばまでの実現を期待している。JALは出資に合わせ、最多で20機購入が選択出来る権利も得た。
米コロラド州デンバーに本拠があるブーム・テクノロジーズのブレーク・ショール最高経営責任者(CEO)によると、今回の出資交渉は昨年から続けられた。旅客機開発事業でこれまで集めた資金は計5100万ドルで今後も増加が見込めるとした。既に得た資金で2座席の小型版の試作機「XB-1」の開発を進めており、初の試験飛行は来年末までに予定する。
ただ、本格的な開発、製造、試験、型式承認や大量生産の段階に入った場合、数十億ドル単位の資金確保が極めて大きな課題となる。航空会社5社が市場投入の成功を条件に最多で76機を発注することに関心を寄せているという。
ただ、投資に踏み切った航空会社はJALが初めてとしている。日本では大都市間の空路に広い陸地が横たわらず超音速旅客機の飛行には最適とされる。超音速飛行時の衝撃音による騒音問題のリスクも減じる。超音速飛行は欧米上空では禁止されている。
欧米間には以前、英仏開発の超音速旅客機「コンコルド」が就航していたが、高額な維持管理費などが理由で2003年に引退した。