サウジで進む女性の社会進出、スタバでも活躍
女性だけでなく、男性の就労率も上がっている。サウジの失業率は政府の統計によると12.8%だが、ムハンマド皇太子は30年までにこれを7%に下げるとも表明している。
アルジャラジェルさんは約10年前、大学生の時に喫茶店でコーヒーをいれる「バリスタ」のアルバイトを始めようとしたものの、父親から「息子にコーヒーを出す仕事をさせるのは恥」と反対され、毎月6万円ほどのアルバイト代と同額の小遣いを渡すから勉強に専念しろと言い渡された。
家族の反対だけでなく、雇用する側としても、外国からの出稼ぎ労働者を雇ったほうが安く済むという事情がある。政府は昨年、この傾向を修正するために、外国人を採用している雇用主に対して、1人当たり月々107ドルの追加課税を決めた。税率は今後さらに上がることになっている。
女性たちが就職した後、いかに定着させるかという課題もある。小売店や飲食、IT企業の採用コンサルティングを手掛けるレドワン・アルジェルワ氏によると、職に就いた女性のうち4割はわずか2~3カ月で、家族の反対を理由に辞めてしまうという。
16年第3四半期の女性の失業率は34.5%。女性労働者の需要はまだ男性よりずっと少ないのが現状だ。
しかしアルジャラジェルさんは「女性は働くことにより、家族に養われる立場を脱して自立するという選択肢を手に入れることができる」と話す。
ガズワンさんが働くスターバックスでは、多くの女性や男性客らが「よくやっているね」と声を掛けにきてくれるという。