独バイエルに2200億円の賠償認定、除草剤めぐる米訴訟で
ロンドン(CNN Business) 米カリフォルニア州の裁判所の陪審はこのほど、除草剤「ラウンドアップ」の使用が原因でがんを発症したとする訴訟に対して、メーカー側に20億ドル(約2200億円)余りの賠償金を支払う責任があると認める評決を下した。これを受け、製造元の米モンサントを昨年買収した独製薬大手バイエルに、巨額の法務費用がのしかかる可能性が浮上している。
米国ではラウンドアップをめぐり、約1万3400人が同様の訴訟を起こしている。上記の賠償金はこれまでの訴訟で発生した金額としては過去最大。これに先駆け、バイエルに対しては別の2件の訴訟でも賠償責任が認定されていた。
バイエルはこれらの評決を不服として控訴する方針だが、先行きは厳しいものになりそうだ。
米モーニングスターでバイエルを担当するアナリスト、ダミアン・コノバー氏は、訴訟の質に関するより詳しい情報がない中で正確な数字を割り出すのは難しいとしつつ、最悪のシナリオが実現した場合にバイエルが被るコストは130億ユーロ(約1兆6000億円)を超える可能性があると推計する。
投資家からの懐疑的な見方も強まっており、先月の年次株主総会では議決権を持つ株主の55%以上が、経営陣の行動に不支持を表明する異例の事態となった。
一部からは抜本的な構造改革を検討する時期に来ているとして、社内の製薬部門と農業ビジネス部門の分離などを提言する声も出ている。