世界の億万長者、コロナ禍で573人増加 国際NGO報告書
ニューヨーク(CNN Business) 国際NGOのオックスファムは22日、保有資産10億ドル(約1270億円)を超える世界の億万長者は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前に比べて573人増えたとする報告書を発表した。
オックスファムはこの日にスイスで開幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に合わせ、米経済誌フォーブスのデータを基に経済格差を分析した。
パンデミックの2年間で、株高やそれを支えた政府の財政援助を背景に、億万長者の資産の合計額は42%増、金額にして3.8兆ドル増え、12.7兆ドルに達した。
オックスファムの格差対策部門を率いるマックス・ローソン氏によると、合計額はパンデミックの1年目で急増し、高止まりした後、わずかに減少している。
一方、オックスファムが先日発表した報告書によると、世界で今年、新たに2億6300万人が極度の貧困に追い込まれると推定される。
ローソン氏は「歴史上、貧困と富が同時にこれほど急拡大した例は見たことがない」と指摘する。
オックスファムによれば、消費者が燃料、食料価格の上昇に苦しむ一方で、売り手の企業やその経営者は価格上昇で利益を得ている。
食品、農業分野の億万長者はこの2年間で62人増え、インフレ調整後の資産合計額は45%、3820億ドルも増えた。
石油、ガス、石炭の分野では合計額が24%、530億ドルの伸びを示した。
製薬分野では40人の億万長者が新たに誕生した。
テクノロジー分野の億万長者は、世界の富豪上位10人のうち7人を占める。資産合計額は2年間で4360億ドル増え、9340億ドルに上っている。
オックスファムは格差対策として、富裕層や大企業への課税を主張している。