鉄道ストと人手不足で大打撃の英経済、物価高も苦境に拍車
シンクタンクのラーニング・アンド・ワーク・インスティチュートは、英国では労働力として約100万人が「不足している」と計算する。
スティーブン・エバンスCEOによると、この100万人のうち大部分は50歳以上の労働者と長期にわたる健康上の問題を抱えた労働者が仕事をあきらめたことによるものだ。3分の1は移民の減少を含む人口減が原因で、5分の1は若者が教育機関に長く在籍しているためだという。
英国の失業率は3.8%とパンデミック前の水準に戻ったが、この指標は積極的に仕事を探している人の数しか捉えていない。
以前は労働力がすぐ目の前にあったが、今では欧州の労働者が英国にやって来るのはかなり難しくなっている。
昨年1月以降、英国で仕事を求めるEU諸国の市民は、他の国籍の人と同じポイント制の移民プロセスを経なければならない。公式統計によると、1月から3月にかけて英国で働くEU国籍の人は20年の同時期と比べて約21万1000人減少し、非EU国籍の労働者は18万2000人増加した。
こうした中、以前から人手不足に悩まされてきた高齢者介護の分野が特に大きな打撃を受けている。
英国内最大級の介護施設業者アドビニア・ヘルスケアの共同設立者兼オーナーのサンジーブ・カノリア医師は取材に対し、ブレグジットが業界に与える「真の影響」をパンデミックが見えなくしてしまったと語った。
37施設で約3000人を雇用するカノリア医師によると、常に少なくとも10%のポジションが埋まっていないという。
今年は、正社員と派遣社員の両方を見つけるために、人材紹介会社に約1000万ポンドを払う見込みだ。これは通常の3倍以上の額だ。
物価の高騰も英国人を低賃金の仕事から遠ざけている。
約800の介護施設業者を代表する全国介護協会のナドラ・アハメド会長によると、仕事のために車で移動する介護士にとって燃料費の高騰が「痛手となり始めている」という。
「生活費の危機が顕在化し、人々はより良い報酬を得られるかもしれない他の仕事に目を向けなければならなくなっている」とアハメド氏は指摘した。