鉄道ストと人手不足で大打撃の英経済、物価高も苦境に拍車
イングランド南西部で料理デリバリーとケータリング業を営むマンディラ・サルカーさんは、人手不足は6年展開してきた事業にとって「緩慢な死」だと話す。
「本当に悪夢だ。スタッフが見つからないので、文字通り土下座している」とサルカーさんは語った。
業界全体に広がる労働者不足は企業の成長力を抑制し、一部の企業はサービスの縮小を余儀なくされている。ロンドン南部のガトウィック空港は先週、十分な労働力を確保できないため、7月から8月にかけて運航を最大13%削減すると発表した。
航空業界はパンデミック(世界的大流行)時に旅行需要が急減したため人員削減し、ここ数カ月の乗客数の大幅回復に対処しようと十分な労働者の雇用と訓練に苦慮している。
格安航空会社のイージージェットは20日、ガトウィック空港の混乱もあり、夏の運航を2019年の約90%に減らすと発表した。
しかし、パンデミックの影響だけではない。ブレグジット(欧州連合<EU>からの離脱)によって英国・欧州間の労働力の自由な移動がなくなり、英国の雇用主は巨大な労働力の供給源を開拓することがかなり難しくなっている。
英国の労働力不足は、世界で最も豊かな経済圏の中で他に類を見ないほど深刻だ。
経済協力開発機構(OECD)によると、英国は主要7カ国(G7)の中で唯一、20年から21年にかけて労働力人口に占める生産年齢人口の割合が減少した。
OECDはまた、英国経済が23年に停滞すると予測しており、経済成長が見込まれるG7諸国とはさらに一線を画している。