米マクドナルドがあのメニューを廃止にした理由
ニューヨーク(CNN) ファストフード大手の米マクドナルドはかつて、サラダに多額のマーケティング費用をつぎ込んだ。しかし、2020年以降、サラダはメニューから消えた。その理由は、消費者がマクドナルドを訪れるときに求めるものはたいてい、ハンバーガーとフライドポテトだと結論付けているためだ。
マクドナルドの米国部門の社長ジョー・アーリンガー氏は飲食業界のイベントで米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の取材に答え、「もし、人々が本当にマクドナルドからのサラダを望んでいるのなら、喜んでサラダを再発売する」とした上で、「しかし、我々の経験が証明したのは、消費者がマクドナルドに求めるのはそういうものではないということだ」と言い添えた。
アーリンガー氏は、消費者が求めているのは、素晴らしいフライドポテトや5ドル(約800円)のセットメニュー、熱々のハンバーガーであり、だからこそマクドナルドはそうしたメニューを提供し続けると語った。
健康的なメニュー、あるいは、ベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(完全菜食主義者)、子ども向けのメニューを提供することは、ファストフード店がいわゆる「拒否権の発動」を回避することに役立つ。拒否権の発動とは、好き嫌いのある人や食事に制限のある人がいるグループや家族が店舗を回避することを指す。マクドナルドにとっては、サラダがメニューにあることは、拒否権を回避し、最新の健康食の流行を維持するための方法だった可能性が高かった。
新型コロナの流行を受けて、労働力不足やサプライチェーン(供給網)の混乱に直面した飲食店は人気メニューに絞ってメニューの品数を減らした。マクドナルドも店舗運営の簡素化を図るため、20年に全米のメニューからサラダを取り下げた。WSJによれば、22年にはフランチャイズ店の経営者に既製品のサラダを提供する選択肢を提示したものの、多くの経営者が提供しないことを決めたという。
この戦略は功を奏した。主力商品を更新して市場に提供する方法を考案し、売り上げは急増している。