英国の地方自治体、「広範な財政破綻」の懸念 報告書で明らかに
ロンドン(CNN) 英国のイングランド、スコットランド、ウェールズの地方政府は来年、43億ポンド(約8000億円)の財政赤字に直面する。英国最大の労働組合ユニゾンが9日に発表した新たな報告書で明らかになった。この財政難により、雇用や、ごみ収集などの重要なサービスが削減される可能性がある。
報告書は2025~26年度に予測される赤字を埋めるための緊急的な追加資金がなければ「地方政府が広範に崩壊する深刻なリスクがある」と警告した。
報告書によれば、地方政府が直面する資金不足はこの翌年には85億ポンドに膨れ上がると予測されている。この報告書は公開されている財務諸表と、一部の自治体が独自に行った推計に基づいている。
英国では最近政権を奪還した労働党政権が7月、国の財政に220億ポンドの「ブラックホール」があることを明らかにしていた。今回の報告書は、政権が来月の最初の予算案で発表する地方政府の資金計画について準備を進める中で発表された。
ユニゾンは多くの地方当局が財政赤字を解消するという法的義務を果たすために土地や建物を売却し、ごみ収集や図書館、公衆トイレなどのサービスを削減せざるを得なくなる可能性があると指摘している。
スターマー首相は先月の演説で増税を示唆。予算は「痛みを伴うものになる」と警告した。
英国の地方政府の多くは10年代に中央政府からの資金が大幅に削減されたことなどを受け、過去10年間、慢性的な財源不足に直面してきた。
ロンドンに次ぐ英国第2の都市バーミンガムは1年前、事実上の財政破たんを宣言。必須サービスを除くすべての支出を停止した。
ユニゾンによると、18年以降、八つの地方議会がいわゆる地方自治法114条に基づく通達を行っており、事実上破たんしているという。
10年から23年の間に、地方政府は1243カ所の青少年センターと1168カ所の児童センター(若者や家族に無料の講義やサービスを提供するコミュニティーセンター)を閉鎖した。同期間に公衆トイレは1629カ所減少し、地方自治体が運営する図書館の数は1376カ所減少している。