恐竜の胚の化石を発見、世界最古級 驚異の成長速度
(CNN) 中国やカナダなどの古生物学者らのチームは12日までに、中国雲南省で約1億9000万年前の恐竜の胚(はい)の化石を発見したと英科学誌ネイチャーで発表した。化石を分析した結果、卵の中で胚が極めて早く成長していたことがわかったという。
研究チームによると、化石は竜脚類のもので、これまで発見された恐竜の胚の化石では最古級の約1億9000万~1億9700万年前のもの。同類の恐竜の中には体長9メートルに及ぶ個体もいたとみられる。
研究チームは200を超える胚の骨の化石から骨が作られる様子を観察。これまで明らかでなかった恐竜の胚の成長過程について研究を進めた。
研究チームによると、今回発見した恐竜の胚は現在の動物と比べて極めて成長が早く、卵の中にいるうちから筋肉を収縮させていたという。成長速度を決める要因として、研究チームは骨の内部で骨細胞を収める「骨小腔」と呼ばれる空間に着目。今回の化石では骨小腔が骨組織の約60%と、他の動物の割合(約15~45%)を大きく上回っていたことが成長の早さにつながったと見る。
チームを率いるトロント大学(カナダ)のロバート・リース氏は今回の研究で「恐竜の発生学に新たな基準を打ち立てた」と意義を強調する。
中国の雲南省は世界最古級の恐竜の胚の化石が多数眠っているとされ、今回の化石は同省の禄豊盆地で発掘された。
中国と台湾の共同研究チームは、分析を進めるため国外の研究者にも協力を依頼。古生物学者以外にも化学者や物理学者、地理学者と協力して研究に当たった。