宇宙の「暗黒物質」の痕跡か 国際チームが観測
(CNN) 欧州合同原子核研究機関(CERN)は3日、宇宙の成分の4分の1を占めるとされる謎の物質「暗黒物質」の存在を示す痕跡を国際研究チームが捉えた可能性があると発表した。
研究チームは国際宇宙ステーション(ISS)の外側に取り付けたアルファ磁気分光器(AMS)という装置を使い、宇宙線の中の陽電子を観測。CERNは声明で、今回の観測では宇宙で暗黒物質同士がぶつかって消滅する際に発生する陽電子を捉えた可能性があると説明。ただし、他の説明を除外できるほど十分な証拠が得られたわけではないという。
宇宙の組成のうち、原子は全体の5%程度に過ぎず、残りは直接見ることも感じることもできない物質だと言われている。全体の約71%を占めるのが「暗黒エネルギー」で、残る24%が暗黒物質だ。
AMSは16カ国の科学者が共同で運用。2011年6月のスペースシャトル「エンデバー」の最終ミッションでISSに運ばれた。
研究チームを率いるマサチューセッツ工科大学のサミュエル・ティン教授は、「現時点で宇宙線陽電子の流れに関する最も正確な計測であり、AMSの力と能力をはっきり示している。AMSはあと数カ月のうちに、これらの陽電子が暗黒物質の痕跡なのか、それとも別の起源を持つのかの結論を示してくれるはずだ」と語る。
暗黒物質に関する研究は、CERNの世界最大級の加速器「大型ハドロン衝突型加速器」を使っても行われているほか、世界各地の研究機関が取り組んでいる。