火星表面を「体験」できる施設が完成 ロンドン
ロンドン(CNN) 火星の地表で車を走らせる体験をしたければ、まずは広大な砂場を用意しなければならない。
エアバス・ディフェンス・アンド・スペース社はこのほど、ロンドン郊外に「マーズヤード」と名付けた火星の地表を模した施設を建設した。欧州宇宙機関(ESA)の自走式火星探査車の試験をするのが目的だ。
米航空宇宙局(NASA)の火星探査車の調査結果をもとに、火星の土壌と色を合わせた300トンの砂が使用され、施設内の明るさも火星に合わせてある。総工費は約50万ポンド(約8500万円)。
ESAは「エクソマーズ」という探査プログラムで火星上の生命の痕跡を探ろうとしており、2016年1月に周回機と試験用の着陸機、18年には地表探査車を打ち上げる計画をしている。
科学者らは探査車が目標物までの安全な走行ルートを割り出す技術を開発するためにマーズヤードを活用しようとしている。エアバスのジャスティン・バーン氏は「火星から地球までは信号を送るのに20分必要で、地球から操作するには時間がかかりすぎるからだ」と言う。
エアバスによれば、探査車が火星に着陸した後も、探査車に問題が生じた場合に状況を再現して解決策を探るための施設として利用するとしている。
ESAが03年に打ち上げた火星探査機「マーズ・エクスプレス」は今も火星の周回軌道からデータを送ってきている。だが、マーズ・エクスプレスから着陸機「ビーグル2」を火星に着陸させる試みは失敗に終わっている。