星空を超えて 現代天文学の技術と意義

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ハッブル望遠鏡が撮影したアンドロメダ銀河(M31)の一部=NASA、ESA

ハッブル望遠鏡が撮影したアンドロメダ銀河(M31)の一部=NASA、ESA

この規模の「ビッグデータ」の処理は、ボランティアの「市民科学者」の支援で行われている。最も有名な例の1つがGalaxy Zoo(銀河動物園)だ。このプロジェクトでは、数十万人の協力を得て、銀河の形状を分類している。

このような分析で使われた技術も医療分野で生かされている。ケンブリッジ大学天文学研究所と腫瘍(しゅよう)学、病理学の研究者との共同プロジェクト「PathGrid」では、天文学向けに開発された高度な画像分析・データ処理技術を医療分野に応用。病院のX線技師による悪性腫瘍の発見を支援し、腫瘍除去手術の容易化、迅速化を図っている。

電波天文学の分野では、電波望遠鏡「スクエア・キロメートル・アレイ(SKA)」の数千個のパラボラアンテナと数十万個の検出器がオーストラリアとアフリカ南部に設置される。今後、この超高感度望遠鏡を使って、暗黒エネルギーの調査やアインシュタインの相対性理論のテストなど、天文学のより大きな疑問の解明に向けた取り組みが行われる。

このSKA向けに開発された技術が、世界に変革をもたらすほどの斬新な技術であることは想像に難くない。この望遠鏡を機能させるには、現代世界のインターネット通信量の100倍に相当する膨大なデータフローを処理するネットワークの構築と、遠隔の砂漠でほとんど保守・管理を必要としない電源開発が必要になるだろう。

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