日本で「中年童貞」が増加 その背景は
「ホワイトハンズ」の代表理事である坂爪真吾氏は、童貞の中年男性について、現実の女性と接した経験に乏しいと指摘。女性の裸体を見る時間を設けるのが問題解決への第一歩になるという。
同氏はまた、「日本社会では、アニメ、漫画、ゲームなど、恋愛やセックスの他にも娯楽があふれている」とも指摘。痛みや苦悩を伴わない娯楽が優先された結果、恋愛やセックスを必要としなくなった。完璧な異性関係があり得るという幻想に加え、日本社会特有の失敗への恐怖感が相まって、深刻な社会問題に発展。異性関係の減少や出生率の低下、人口減少につながったという。
前述のサカイさんは教師であり、登山家でもある。童貞というだけなく、女性と付き合ったこともキスをした経験もないが、デッサン教室が助けになっている。童貞であることは長年、周囲に秘密にしてきた。だが、それは問題を見て見ぬふりをしていたに過ぎなかったという。
記者には6歳の息子がいる。子どもの成長を目にするにつけ、将来の日本が果たして良い環境なのかどうか、考えざるを得ない。今の少子化傾向が続けば、2060年、息子が私と同年齢になる頃には日本の人口は30%以上減少する。5人に2人は65歳以上になる計算だ。日本は活力ある社会を維持できるのだろうか。
記者が社会に出てから27年間で、セックスや異性関係に対する日本人の見方は劇的に変化した。バブル経済のただ中にあった80年代、25歳以上の未婚女性は「クリスマスケーキ」と呼ばれていた。旬の季節が終われば捨てられるという意味だ。90年代には「年越しそば」に変化。「年越しそば」も大みそかが過ぎれば、やはり廃棄されてしまう。
今日では、こういった古い流行語は一笑に付されることが多い。20年にわたる経済停滞により、日本人男性は経済的に去勢された。妻や子どもを養うだけの給料を得られる会社に就職できる見通しは少ない。