母親の血液検査で胎児の疾患を判定 苦心の研究の舞台裏

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妊娠中の母親の血液から胎児のDNAの解析が行えるという

妊娠中の母親の血液から胎児のDNAの解析が行えるという

香港(CNN) デニス・ロー氏が現代医学を変えることになる発見をしたのは1996年秋、真夜中過ぎのことだった。

ロー氏は血液中に循環するDNAという「宝の山」を発見。これにより妊娠中の女性は将来、簡単な血液検査を行うだけで安全に胎児の遺伝的な状態を判断することができるようになるとみられる。最初期の段階でのがんの発見につながる可能性もある。

ロー氏はまず、胎児のDNAが母親の血漿(けっしょう)のなかを循環していることを発見。このDNAが胎児の健康状態を将来にわたり判断する手がかりになるとの見通しを立てた。

だが当初、医学界からは相手にされなかった。現在、李嘉誠健康科学研究所の所長を務めるロー氏は「性別判定にしか使えないと思われた」と振り返る。これでは応用範囲としてあまりに狭いうえ、倫理的な問題もはらんでいると専門家から見なされたという。ロー氏はそれでも研究を継続した。

母親の血液のなかに胎児のDNAが存在することを突き止めるロー氏の研究が始まったのは、英オックスフォード大学でのこと。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)についての講義を聴き、世界を変える技術だと学んだ。

PCRはDNAの断片を数千本に増幅させるために使われる技術だ。ロー氏はこの最先端の技術の使い方を学び、すぐに応用法の研究を開始。より安全で、非侵襲的(手術などで生体を傷つけることがない)なダウン症の検査方法を開発するのが狙いだった。

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