母親の血液検査で胎児の疾患を判定 苦心の研究の舞台裏

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がん患者の腫瘍細胞に関する発見が、研究の突破口になった

がん患者の腫瘍細胞に関する発見が、研究の突破口になった

母親の血漿から胎児のDNAを取り出す実験を行うと、最初の結果は驚くべきものだった。「自分の目を疑った。母親の血液中に探していた胎児のDNAは、8年間にわたって調べずにいた部分に存在した」と話す。初めからそこにありながら、ずっと隠れていたというわけだ。

ただ、ロー氏の発見が実際に応用されるまでには時間がかかった。ダウン症の検査に使うことができれば大きいのだが、というのが当時の医学界の反応だった。

ダウン症は胎児の21番染色体が1本余計にあることに起因する。従来は胎児から採取した細胞を調べることで診断を下しており、血液中に循環する細胞フリーDNA(cfDNA)を使った診断が可能だとは見られていなかった。

だが、ロー氏はこの見方が誤りであることを証明。2007年には、ダウン症を持つ胎児がお腹のなかにいる場合、21番染色体に由来する分子の数が母親の血漿中で増えることを示した。

ただ、血漿中に存在する胎児のDNAの数は非常に少ないため、分析データを作るためにこれを増殖させる必要があり、費用面から現実的ではないと見なされたという。

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