クモの糸が導く未来<1> 再生医療に新たな可能性
「駆け出しの頃は複雑なシステムに魅了された」という。幾何学的で複雑な構造を持つクモの網に引かれ、その仕組みを解明したくなった。
クモについて最初の論文を発表したのは1976年。これに続けて、クモの巣の特徴や機能を解明する画期的な研究を次々に発表した。世界各地でフィールド調査を行い、希少なクモを追い求めて中米パナマや太平洋のパプアニューギニアにも長期滞在している。
ボールラス氏の発見を受けて、さまざまな共同調査の依頼が舞い込んだ。クモの網の構造に基づいた建物を建築家と一緒に設計したほか、米軍の依頼でLSDなどの麻薬がクモの巣の生成に与える影響を調査したこともある。クモは非常に神経質なため、カフェインが最も悪い影響を及ぼしたという。
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