絶滅危惧のベンガルトラ、50年以内に最大級の生息地から消滅の恐れ
トラの生存に欠かせない淡水も減りつつあるといいい。「もしこのまま海面の上昇が続けば、ベンガルトラの(生き残る)術はなくなってしまうかもしれない」とムクル氏は話す。密猟によってトラの餌となるシカも激減している。
淡水が減り、餌も少なくなる中で、ベンガルトラが人の住む集落に迷い込んで死者が出るトラブルも続出。2013年の調査では、年間に少なくとも3頭のトラが、人との衝突によって死んでいることが分かった。
バングラデシュ側のスンダルバンス地域でトラと遭遇して死亡する人は、年間平均で20~30人に上る。ただしこの数字には、トラの生息地に許可なく侵入して死亡した人は含まれないことから、実際の人数はもっと多い可能性もある。
地元では人とトラの衝突を防ぐ取り組みも進められており、保護団体代表のアンワルル・イスラム氏によれば、そうした活動が奏功して、人がトラに襲われたり死亡したりした件数は、この5年の間に減少した。
それでもトラの生息地を守るためにはもっとやるべきことがあるとイスラム氏は話し、スンダルバンスが海に沈めばトラたちは行き場を失うと指摘している。