絶滅危惧種クジラの赤ちゃん、安全な海に到達 個体数回復へ希望
(CNN) 絶滅危惧種に指定されているタイセイヨウセミクジラの赤ちゃんが再び目撃され、種の存続に向けた小さな光が見え始めている。
保護団体が米北東部ニューイングランド沖のケープコッド湾上空から行った調査では、タイセイヨウセミクジラの赤ちゃん2頭が新たに観測された。これで今年に入って同湾で目撃された赤ちゃんは3頭になった。
タイセイヨウセミクジラは世界に残された個体数が約411頭にまで減り、昨年は赤ちゃんが1頭も目撃されなかったことから、絶滅危惧が強まっていた。
しかし今年に入って別の保護団体が、南部のフロリダ州とジョージア州沖で生まれた赤ちゃん7頭を目撃したと報告した。タイセイヨウセミクジラは子どもが生まれると、大抵は4月ごろに北上する。ニューイングランド沖で目撃されたのは、南部で見つかった7頭のうちの3頭だった。
保護団体の関係者はブログの中で、「今年生まれた7頭は、タイセイヨウセミクジラの個体数回復に向けた希望の象徴だ」と指摘する。
タイセイヨウセミクジラはこの数年で個体数が急減し、2017年には17頭の死骸が大西洋の沿岸に漂着していた。この10年で死んだクジラは少なくとも50頭に上るといい、「死ぬばかりで子どもが生まれないのは極めて深刻な状況」と専門家は危惧していた。
タイセイヨウセミクジラは19世紀の乱獲によって個体数が激減し、1970年に絶滅危惧種に指定された。今では気候変動が食物連鎖に影響を及ぼし、漁業網に絡まったり船舶に衝突したりする危険にもさらされている。
専門家はケープコッド湾にたどり着いた3頭について、「危険な旅を乗り越え、母クジラとの良好な関係を確立した。これからは安全な海で生育できる」と期待を寄せている。