ホッキョクグマが餌を求めて700キロ移動、温暖化の影響か ロシア
(CNN) ロシア極東に生息するホッキョクグマが、餌を求めて生息地から約700キロも離れた集落に迷い込み、当局が警戒を強めている。
ホッキョクグマはカムチャッカ半島にあるチリチキの町で、過去5日間にわたって何度も目撃され、地元住民が写真と動画を撮影してソーシャルメディアに投稿した。住民によると、疲れ切った姿だったが人を襲うような様子は見せなかったという。
ロシアのリアノーボスチ通信によると、ホッキョクグマは約700キロ北部のチュクチから、ベーリング海の流氷に乗ってカムチャッカ半島にたどり着いた。
北極圏では気候変動の影響で海氷が急激に縮小し、ホッキョクグマが餌を求めて長距離を移動するようになっている。
16日にチリチキ市内でホッキョクグマを見かけて撮影した女性はCNNの取材に対し、「クマは2歳くらいだった」と話し、「単独で生きることにはまだあまり慣れていない。普通は3歳くらいまで母親と一緒にいる」と指摘した。
「疲れ切っていたけれど攻撃的ではなく、地元の人が魚を与えると食べていた。今日は元気になった様子で獲物を探しに行った」という。
リアノーボスチ通信によると、カムチャッカ半島の当局は、ホッキョクグマを麻酔で眠らせ、空路チュクチに戻すことを計画している。
気候変動が原因と見られるホッキョクグマの長距離移動が伝えられたのは今回が初めてではない。今年2月にはロシア領のノバヤゼムリャ列島で、飢えたホッキョクグマ数十頭が出没して非常事態宣言が出されていた。