中国、バンス氏に猛反発 「中国の農民」についてのコメント受け
香港(CNN) 中国で8日、米国のバンス副大統領に対する痛烈な批判が噴出した。同氏がインタビューで発した「中国の農民」についてのコメントが引き金となり、ネット上で怒りや嘲笑が拡散した。
3日にFOXニュースのインタビューに答えたバンス氏は、市場を震撼(しんかん)させているトランプ大統領の関税政策を擁護する一方、「グローバリスト経済」を強く非難した。
「グローバリスト経済が米国に何をもたらしたか? その答えは根本的に二つの原則に基づく。巨額の負債を抱えて、他国が我が国のために作った製品を購入するということだ」。バンス氏はそう述べた。
「もう少し明確に言えば、我が国は中国の農民から金を借り、その中国の農民が製造した製品を買っている」
バンス氏のこのコメントについて8日の定例記者会見で質問された中国外務省の報道官は、「この副大統領からこれほど無知で無礼な発言を聞くのは驚きであると同時に嘆かわしい」と述べた。
CNNはバンス氏の事務所にコメントを求めている。
今週に入り、バンス氏のインタビュー映像は中国のネット上に流れ、強い反発を引き起こした。中国の工場には産業ロボットがずらりと並び、都市部では国産の電気自動車(EV)が走行。農村部とも全国に張り巡らされた高速鉄道網でつながる。
「米国の田舎から出てきた本物の『農民』には、物事の全体像が見えていないようだ」。中国共産党機関紙「環球時報」の元編集長で発言に影響力のある胡錫進氏は中国のSNS「微博(ウェイボー)」でそう述べた。「中国に来て自分の目で確かめてほしいと、多くの人々が求めている」
バンス氏の発言に関するハッシュタグは7日夜、ウェイボーのトレンドで1位になった。8日午後までの閲覧件数は1億4000万件となっている。
あるユーザーは、「我々は農民かもしれないが、世界一の高速鉄道システムと最強の流通能力を持っている。AI(人工知能)や自動運転、ドローン(無人機)の技術でも他国に先んじる。農民としては相当見事なものじゃないか?」と書き込んだ。
別のユーザーは、バンス氏自身が米国の労働者階級出身であり、貧しい地域で育ったことに言及。その事実を踏まえれば今回の同氏のコメントには皮肉を感じるとした。
バンス氏は2016年に出版した回想録「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」で、幼少期の貧困や虐待、母親の薬物中毒などを描いている。同氏が一時期を過ごした米国東部のアパラチア地域については、富裕なエリート層に忘れられた僻地(へきち)とする感慨を綴(つづ)っている。