豪華客船タイタニックの最期、3Dスキャンが新たな光 新ドキュメンタリー

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マゼラン社のチームが作成したタイタニックの実物大の「デジタルツイン」/Atlantic Productions/Magellan

マゼラン社のチームが作成したタイタニックの実物大の「デジタルツイン」/Atlantic Productions/Magellan

(CNN) 113年前に沈没した豪華客船「タイタニック」の3D水中スキャンを作成するプロジェクトの驚くべき成果が、新たなドキュメンタリーで明らかになる。

ドキュメンタリーの名称は「デジタル・レザレクション:崩れゆくタイタニックの記録(原題Titanic: The Digital Resurrection)」。9日に発表された米誌ナショナル・ジオグラフィックの声明によると、深海マッピング企業のマゼラン社が「これまで作られた中で最も正確なタイタニックのモデル、リベットに至るまで精密な実物大のデジタルツイン」を作り上げた過程を描く内容だという。

このプロジェクトにより、タイタニックは2022年当時の姿のまま、細部まで完璧に保存される/Atlantic Productions/Magellan
このプロジェクトにより、タイタニックは2022年当時の姿のまま、細部まで完璧に保存される/Atlantic Productions/Magellan

1912年4月10日に初航海に出帆した当時、タイタニックは就航中の客船で最大の規模を誇り、沈むことはないと考えられていた。

しかしそのわずか4日後の4月14日午後11時40分、タイタニックは北大西洋で氷山に衝突し、3時間も経たないうちに沈没。初航海は国際的な悲劇と化した。

船には乗客乗員およそ2220人を乗せる十分な救命ボートが備わっていなかった。この事故で1500人以上が犠牲になり、タイタニックは歴史上最も有名な海難事故として記憶される結果になった。生存者は700人あまりにとどまった。

声明によると、ナショナル・ジオグラフィックの90分間のドキュメンタリーは、映画制作者のアンソニー・ゲフェン氏に「船の最後の瞬間を再現する」機会を与える内容。「長年の定説に挑み、1912年のあの運命の夜に本当は何が起きたのか新たな洞察を明らかにするものだ」という。

映像内ではタイタニックの専門家のパークス・スティーブンソン氏、冶金(やきん)学者のジェニファー・フーパー氏、商船の船長であるクリス・ハーン氏が実物大に再現された船内を歩き回り、従来明らかになっていなかった細部を検証する。

重要な発見の一つは目に見える形で開いた蒸気弁で、機関士たちが氷山衝突後も2時間あまりにわたってボイラー室のそれぞれの持ち場にとどまっていたという証言を裏付けている。

これによって電力供給が維持され、乗員は救難信号を送ることができた。つまりボイラー室に残った35人は、他の数百人の命を救うために自らを犠牲にした可能性がある。

マゼラン社のスキャンでは、船体の一部が崩壊しつつある様子も明らかになった。だがナショナル・ジオグラフィックによると、今回のデジタルツインでは「タイタニックは2022年当時の姿のまま、細部まで完璧に保存されており、未来の世代のため歴史の中に場所を確保し、水中考古学の新たな時代を切り開くことができる」という。

「Titanic: The Digital Resurrection」は11日にナショナル・ジオグラフィックで初放送され、12日からはディズニープラスとHuluのストリーミングサービスでも視聴可能になる予定だ。

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