絶滅したダイアウルフの復活に成功、米バイオ企業が発表
絶滅したダイアウルフが復活、米バイオ企業の取り組み
(CNN) およそ1万2500年前に絶滅したオオカミの種が、新たに誕生していたことが分かった。米テキサス州ダラスに本社を置くバイオテクノロジー企業、コロッサル・バイオサイエンシーズは「世界で初めて絶滅からの復活に成功した動物」と発表している。
今回誕生したダイアウルフと呼ばれる種の子ども3匹は、コロッサルの科学者らが太古のDNAとクローン技術、ゲノム編集技術を駆使して作り出した。ダイアウルフと最も近い種に当たる現存のオオカミの遺伝子を改変した。同社が7日に明らかにした。結果的に生まれたのは事実上交配種だが、外見的な特徴は絶滅した先史時代のダイアウルフと共通している。
ダイアウルフは米テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」に登場するオオカミのモデルになった。北米に生息していたこれらの種は現存のオオカミより大型で、頭部もやや大きく、顎(あご)の力も強かったと、コロッサルは説明する。
コロッサルは2021年以降、マンモスやドードー、フクロオオカミの復活に取り組んできたが、これまでダイアウルフの復活を手掛けていたことは公表していなかった。
同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のベン・ラム氏は報道向けの発表で、「この大きな節目が第一歩となり、今後の多くの事例へとつながる。我が社の広範な復活技術が機能することがそこで示される」と強調。ダイアウルフについては「我々のチームが1万3000年前の歯と7万2000年前の頭蓋骨(ずがいこつ)の化石からDNAを取り出した」と明らかにした。
3匹のダイアウルフは現在、広さ約8平方キロの非公開の保護区で暮らしている。周囲は高さ3メートルの「動物園級の」フェンスで囲まれており、警備員やドローン(無人機)、防犯カメラによって監視している。コロッサルによればこの施設は米動物愛護協会の承認を受けており、米農務省にも登録済みだという。
同社によると雄のダイアウルフ2匹は24年10月1日、犬を代理母として生まれた。同様に25年1月30日には、雌1匹が生まれた。
コロッサルの最高動物責任者を務めるマット・ジェームズ氏はダイアウルフたちについて、「人に慣れている」ものの従順なわけではないと説明。雄2匹は毎日保護区内を積極的に探索しているが、1日2回の食事の時間には拠点へ戻ってくると述べた。
将来はダイアウルフの群れを育ててみたいとジェームズ氏。「彼らが素晴らしい機会を与えてくれるおかげで、我々は絶滅からの復活やクローン技術、ゲノム編集とその後のあらゆる影響について非常に多くのことを学べる」との見解を示した。
絶滅動物を復活させる取り組みを巡っては、巨額の資金を要する点や、代理母として使用される動物の命を危うくしかねない点に言及して批判する声も多い。
ただモンタナ大学で環境哲学を専攻するクリストファー・プレストン教授によれば、コロッサルは動物の福祉に注意を払っているように見受けられるという。理由としては保護施設の規模、米動物愛護協会の支持を得ていることを挙げる。
とはいえ、当該のダイアウルフを自然に放しても生態系で一定の役割を果たすことを想定するのは難しいとプレストン氏は指摘した。