イスラエル軍内で高まる反戦の声、エリート部隊の予備兵も抗議に参加
エルサレム(CNN) イスラエル軍のエリート諜報(ちょうほう)部隊に所属する予備兵の小集団が、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されている人質の即時帰還を求める声に加わっている。実現にはイスラム組織ハマスとの戦闘の即時終結が必要になるが、1年半以上戦闘が続く中、現状に異議を唱える抗議活動が一段と拡大していることが示唆される。
イスラエル最大の諜報部隊「8200部隊」の予備兵や退役軍人は公開書簡を発表し、現行の戦闘について「主に政治的、個人的な利益に資するものであり、安全保障には利益をもたらさない」と主張。「戦闘の継続は宣言された目的の実現には全く寄与せず、人質や(イスラエル国防軍の)兵士、罪のない人々の死を引き起こすだろう」と述べた。
公開書簡には250人以上が署名した。
書簡はイスラエルのネタニヤフ政権も批判する。「政府は混乱の責任を取らず、危機に対する計画も解決策もないことを認めない」とし、全てのイスラエル国民に人質の帰還と停戦を要求する行動を起こすよう呼び掛けた。
この前日にはイスラエル空軍の退役軍人や予備兵が、同様の内容の書簡を国内主要紙の紙面で公開していた。
イスラエルは常備軍の規模は比較的小さいが予備兵は格段に多く、戦闘が長期化する中にあってこれらの兵力に依存している。予備兵の間で抗議活動が広がれば、ガザでの戦闘遂行能力に影響を及ぼす可能性もある。
10日に最初の公開書簡が発表されてから数時間後、イスラエル軍は書簡に署名した空軍の予備兵数名を解雇したと明らかにした。他に署名した予備兵が何人軍に残っているかも分析中だとした。
ネタニヤフ首相は2通目の書簡を非難。作成したのがごく少数の兵士らに過ぎないことを強調しようと試みた。
自身の声明でネタニヤフ氏は、書簡の作成には外国から資金提供を受けている組織が関与しているとの見解を示した。