NYダウ2231ドル下落、調整局面入り 関税合戦が市場を揺るがす
中国の報復関税、最も影響を受けるのは誰?
(CNN) 米株式市場は4日、中国がトランプ大統領による関税への報復措置を打ち出したことを受け、大きく売り込まれた。関税合戦が世界的な貿易戦争をエスカレートさせる状況になっている。
ダウ工業株平均は2231ドル(5.5%)下落し、より幅広い銘柄を含むS&P500指数も5.97%安。ハイテク株中心のナスダック総合指数は5.82%下落した。
ナスダックは昨年12月の過去最高値から20%あまり下げ、2022年以来となる弱気相場入りして取引を終えた。
ダウも昨年12月の過去最高値から10%あまり下落し、調整局面入りして取引を終えた。CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏によると、ダウが終値ベースで調整局面入りするのは22年3月7日以来。2日間の下落幅としては新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が始まった20年3月以来の水準を記録した。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのシニア指数アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏によると、S&P500はこの2日間で5兆600億ドル(約743兆3400億円)相当の時価総額を失ったという。S&Pは3日に調整局面入りしており、ここ2日間の下げ幅は10%を超える。
投資家の間では、劇的にエスカレートする貿易戦争の影響で、米国と世界の経済が景気後退(リセッション)に追い込まれる可能性が懸念されている。JPモルガンのアナリストは3日、米国経済と世界経済が今年リセッション入りする確率はいずれも60%に上ると指摘。世界各国が米国への報復に踏み切れば、リセッションの可能性は一層高まるとも述べた。
実際、中国は4日に報復措置を講じた。報復は状況を一層エスカレートさせるリスクを高め、交渉への期待を損なう恐れがある。

ニューヨーク証券取引所のトレーダーたち=4日/Spencer Platt/Getty Images
ソーンバーグ・インベストメント・マネジメントの株式部門トップ、マット・バーデット氏は「この関税率が最終的なものとして確定した場合、世界の消費と貿易への潜在的な波及効果を考えると、市場の反応は実はまだ鈍いかもしれない」と説明。「一連の関税により、パンデミック開始当初以降は見られなかったような不確実性と変動が市場に注入された」と指摘した。
トランプ氏がベトナムのトー・ラム共産党書記長と「非常に生産的な電話会談」を行ったとSNSに投稿したことを受け、米国株が午前中の最安値から一時持ち直す場面もあった。
だが最終的には、投資家がトランプ氏の関税の規模や経済成長鈍化の可能性を懸念したことから、相場は再びこの日の再安値付近まで下落。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日、あらかじめ用意した発言の中で、トランプ関税の影響でインフレが高止まりする可能性を指摘した。