ナポレオンの晩年の病状、担当医師による希少な手記で明らかに
(CNN) フランスの軍事指導者で皇帝にもなったナポレオン・ボナパルトについて、晩年にさいなまれていた病気や苦痛の実態が明らかになった。治療を担当した医師による希少な手記が公開された。
手記の日付は1818年6月4日で、アイルランド出身のバリー・エドワード・オメーラ医師が書いたもの。同医師は、南大西洋の孤島、セントヘレナ島に幽閉されたナポレオンの治療に当たっていた。
ナポレオンの「不健康」を扱った手記の内容からは、重い身体的症状に見舞われていた当時の様子がうかがえる。具体的には頭痛、右半身の痛み、「相当の」高熱、動悸(どうき)といった症状が含まれる。このほか「全般性不安障害や抑圧感」にも悩まされていたという。
オメーラ医師はさらに、ナポレオンの左上の歯1本を抜かなければならなかったとも明かしている。本人が激しい痛みを訴えたのが理由だ。
手記はこのほど、米テキサス州で競売にかけられ、氏名の伏せられた英国人が2000ドル(約20万8000円)で落札した。
オメーラ医師によって書かれたとみられるメモ/Heritage Auctions, HA.com
歴史家らによればナポレオンとオメーラ医師は友人同士だった。同医師は、15年のワーテルローの戦いに敗れて投降するナポレオンを受け入れた英海軍の戦列艦「HMSベレロフォン」に軍医として乗船していた。ナポレオンは幽閉中の主治医をオメーラ医師とすることを要求したという。
英政府は18年7月、同医師に対して帰国を命じている。
15年間にわたりフランスの実権を握ったナポレオンは、その後21年にセントヘレナで没した。死因は胃がんだったと広く信じられている。
上記のオークションの担当者はCNNの取材に答え、手記について、「希少」であり、年代や来歴を考えると保存状態が素晴らしいと指摘した。