ピエール・カルダン氏死去、98歳 フランスのファッションデザイナー
(CNN) フランスを代表する伝説的ファッションデザイナー、ピエール・カルダン氏が死去した。98歳だった。フランス芸術アカデミーが29日、ツイッターで発表した。
カルダン氏のファッションは、エリザベス・テイラー、バーブラ・ストライサンド、ジャンヌ・モロー、ビートルズ、ローリング・ストーンズなど、世界中のスターに愛された。
カルダン氏はデザイナーの中でもいち早くファッションを事業化して収益を上げ、そのブランド力で誰もが知る存在となった。
斬新なデザインを通じて伝統を打ち破り、当時としては前代未聞だったユニセックスのプレタポルテコレクションを創作した。
1922年にイタリアのベネチア近郊で生まれ、2年後にファシズムを逃れて一家でフランスに移住。誕生時の「ピエトロ」の名は、「ピエール」に改名した。
コレクションを紹介するピエール・カルダン氏=1986年、モスクワ/Daniel Simon/Gamma-Rapho/Getty Images
パリに転居すると同時にファッション界に入り、ジャン・コクトー監督映画「美女と野獣」のコスチュームを手がけた。1946年には、パリで店を開いたばかりのクリスチャン・ディオール氏に採用された。
28歳になった4年後に自身の名でファッションブランドを創設し、1953年にオートクチュールに進出。デザイナー服にもっと親しんでもらいたいとの思いから、59年にはパリのプランタン百貨店で初の既製服コレクションを立ち上げたが、これが原因でフランスのオートクチュール組合から除名されている。
外国人デザイナーとして日本、中国、ロシアに出店した先駆者で、香水や腕時計、たばこ、フライパンなどさまざまな製品に自身のブランドを冠した現代のブランド戦略のパイオニアでもあった。
1987年にはイタリアから功労勲章を授与され、91年にはフランスがレジオンドヌール勲章を授与。同年にはユネスコの親善大使に任命されていた。