ハッブル宇宙望遠鏡で障害、NASAが原因を調査
(CNN) 30年以上にわたって宇宙の謎の解明に貢献してきたハッブル宇宙望遠鏡のコンピューターに不具合が発生し、米航空宇宙局(NASA)が原因を調べている。
NASAの発表によると、不具合は今月13日に発生し、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されているペイロードコンピューターが、メインコンピューターとの間で行う「生存確認」のための信号を受信できなくなった。
メインコンピューターによって科学機器が全てセーフモードに切り替えられたことを受け、米メリーランド州にあるNASAの管制センターがペイロードコンピューターを再起動したが、14日に再び停止した。NASAによれば、望遠鏡や他の科学機器は引き続き問題なく稼働しているという。
障害が起きたペイロードコンピューター「NSSC―1」は、1980年代に製造されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の科学機器コマンド&データ処理ユニットの一部を構成する。同ユニットは、ハッブル天文台の科学機器に命令を伝え、地上に送信するためのデータ処理を担う。最初のユニットは2008年に故障したため、09年5月に現在のユニットに入れ替えられていた。
ペイロードコンピューターは望遠鏡の科学機器の制御や調整などに使われるほか、収集するデータの分析や操作も行っている。そうした機能は重要だが、問題が生じた場合はバックアップ用のコンピューターに切り替えることができるという。
不具合の原因は当初、メモリーモジュールの劣化が原因と思われていたが、再起動に失敗し、バックアップ用メモリーモジュールへの切り替えもうまくいかなかった。このため現在はメモリーモジュールの再起動を試みながら、詳しい情報の収集に当たっている。
もし問題が解決できなければ、バックアップ用のペイロードコンピューターに切り替える準備に入るとしている。