「犬の骨型」小惑星、新たな画像から分析進む
マーキス氏らのチームは2008年にクレオパトラを周回する衛星2つを発見した。これらは古代エジプトの女王クレオパトラの息子にちなんでそれぞれアレックスヘリオス、クレオセレネと名付けられた。
クレオパトラ(写真中央)を周回する衛星アレックスヘリオスとクレオセレネ(写真端の白い点)/ESO/Vernazza, Marchis et al./MISTRAL algorithm (ONERA/CNRS)
VLTが17~19年にかけて撮影した画像により、天文学者らはクレオパトラと衛星を異なる角度から観測し、立体的な形状をより正確に把握することが可能になった。クレオパトラの2つの突起のうち、1つはもう1つより大きいことも分かった。全体の長さは約269キロで、英仏海峡の半分に相当する。
またクレオパトラの質量を改めて計算したところ、従来の数値より35%小さかったという。最新の研究により、クレオパトラの重力が衛星の動きにどの程度影響を及ぼしているかも明らかになった。
クレオパトラの密度は鉄の半分以下。このため、構成要素に金属を含む公算は大きいものの、おそらくは岩塊の集積により形成された多孔質のラブルパイル小惑星だとみられる。
2つの衛星は、過去の衝突などでクレオパトラから削り取られた岩塊で形成されていると考えられる。クレオパトラは非常に高速で回転しているため、ごく小さな物体が衝突しても小惑星を構成する物質が表面から削り取られる可能性があるという。