アマゾン森林の消滅、今年10カ月で33%増 過去10年で最悪
(CNN) ブラジルの調査研究所「IMAZON」は20日までに、アマゾン地域で今年1~10月期に破壊された熱帯雨林の面積は前年同期比で33%増えたとの新たな分析結果を公表した。
過去10年間の同期での消失の程度では、今年は最悪の水準とした。失われた面積は240万エーカー(約9712平方キロ)以上で、10月だけで約20万エーカーに達していた。
独立系の同研究所は、森林伐採警告システム事業と協力し、衛星画像を用いて森林破壊に関する情報を収集かつ監視し、昨年同期のデータと比較した。
一方、ブラジルの国立宇宙研究所の報道担当者はCNNの取材に、昨年8月から今年7月にかけての森林消失の状況をまとめた年次報告書は関連省庁に10月末に送付したとし、年内に公表されるとの見通しを示した。
英グラスゴーでは今月、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の首脳級会合などが開かれ、地球にある森林面積の85%以上を抱えるブラジルを含む関係諸国が2030年までに森林破壊に歯止めをかけたり、終えさせたりすることで合意していた。
ブラジルのボルソナーロ大統領は、アマゾンでの森林消滅の近年の増大を容認していたとして批判を浴びていた。森林破壊は同大統領が就任した2019年1月以降に急上昇し、同年8月から昨年7月にかけては過去12年で最悪の水準となっていた。
アマゾンではここ数年、違法な農耕地開発や畜産事業なども絡む山火事が目立つ。今年1月に公表された研究報告書によると、火事で焼失した森林の面積は50年までに倍増する可能性があると警告。
米ミシガン州にほぼ匹敵する熱帯雨林が失われるとも想定し、より多くの二酸化炭素の排出につながり得るとも主張していた。
健全な状態にある森林の維持は気候変動危機と闘うために必要不可欠な材料ともなる。NGO「レインフォレスト・アライアンス」によると、森林破壊は世界規模での全体的な炭素ガス排出量のうち約10%の原因となっている。