南極大陸西岸の棚氷、5年以内に崩壊の可能性 米英研究者ら
(CNN) 南極大陸の西岸に浮かぶ棚氷が今後5年以内に崩壊し、その影響で世界の海面上昇が加速する恐れもあるとの研究結果が発表された。
西岸には「終末の氷河」とも呼ばれるスウェイツ氷河がある。面積は米フロリダ州や英国に匹敵するが、そこから解けだす氷はすでに毎年約500億トンに上り、世界の海面上昇の4%を占めている。
スウェイツ氷河を束ねる「安全ベルト」のような役割を果たしてきたのが、海面に張り出した棚氷だ。米地球物理学連合(AGU)の年次会合で米英の共同チームが報告した研究によると、最近の衛星写真から、この棚氷に大きなひびが広がっていることが分かった。
英南極観測局のピーター・デービス博士によると、ひびが全体に広がれば、棚氷は車のフロントガラスと同じように壊れやすくなり、やがて粉々に砕けてしまう。
棚氷を失ったスウェイツ氷河も崩壊して、海に流れ込む速度が増す。世界の海面は1~3メートルも上昇することが予想される。沿岸部の町や海抜の低い島は、特に大きな危険にさらされるだろう。
こうした事態を招いている主な要因として、海水温の上昇が挙げられる。スウェイツ氷河の研究を進める国際チームは2020年の研究で、氷河の下の海底が予想されていたよりも深く、そこを流れる暖かい海水が下から氷河を解かしていると指摘した。