豪州を「侵略」したウサギの大繁殖、英国から輸入の24匹が発端
オーストラリアにウサギを持ち込んだのはオースティンが初めてではなかった。1788年、シドニーに到着した英国の第一船団にはウサギ5匹が乗っていて、その後70年の間にさらに90回輸入された。しかしオーストラリア大陸で支配的になったのは、オースティンのウサギ24匹の子孫だった。
オーストラリアに生息している野ウサギ2億匹をたどると、ほぼ全てが1859年に持ち込まれた24匹につながることが分かったという。
研究チームは、オーストラリアの過酷な自然環境の中でウサギたちがどう生き延びたのかについても調べた。
遺伝子を解析した結果、オースティンのウサギの子孫は、それまでにオーストラリアに持ち込まれた飼い慣らされた品種と違って、野生の祖先の血を多く引いていることが分かった。
家畜化された動物は天敵から身を守る能力が欠如しているが、そうした能力は学習によって進化すると研究者は解説する。
オーストラリアでは長年の間に何度もウサギの伝染病が流行。オーストラリア大陸は今も野ウサギの繁殖に苦しめられている。
「生物学的侵略は、世界の生物多様性を脅かす重大な脅威であり、それを防ぎたければ何がそれを成功させたのかを理解する必要がある」と研究チームは指摘。「たった1人、あるいは少数の人たちの行為が環境に対する壊滅的な影響を及ぼし得ることを、この出来事は改めて認識させた」と解説している。