ダイエット飲料に含まれる人工甘味料、食欲増進させる可能性 新研究
(CNN) ダイエット炭酸飲料やゼロカロリーまたは低カロリー食品に含まれる人工甘味料が、体重増加との関係を示す証拠が増えてきている。2023年5月には、世界保健機関(WHO)が体重管理を目的に砂糖代替品を使用しないよう勧告した。
このほど、人工甘味料スクラロースの過剰摂取が逆効果になる可能性を示す新たな研究が発表された。スクラロースを飲料として摂取すると、脳は食欲を抑える信号を出す代わりに、食欲増進を引き起こすという。
「スクラロースは、脳内の空腹感を調節する領域を活性化させ、空腹感の増大につながる」と、研究の筆頭著者である米南カリフォルニア大学ケック医学校の医学・小児科准教授、ケイティ・ペイジ博士は述べた。
実際、スクラロース入りの水を飲んだ人は、砂糖入りの水を飲んだ人と比べて、食欲が約20%増加したという。
スクラロースは、米国では人工甘味料「スプレンダ」の一部商品における主要成分だ。欧州ではE955として知られ、「キャンディス」や「キャンデレル・イエロー」などの甘味料に含まれている。
今回の研究ではスクラロースが与える影響のみを調査した。アスパルテーム、アセスルファムK(カリウム)、サッカリンナトリウムなどの人工甘味料は対象外。
スプレンダを製造するハートランド・フード・プロダクツ・グループの広報担当者は「低カロリーまたはゼロカロリーの甘味料であるスクラロースは、信頼できる科学的研究に基づいて、糖尿病や体重管理のために医療専門家や健康機関から推奨されている」と述べた。
研究結果、過去の知見を裏付け
空腹を感じさせる脳の信号が、人工甘味料によって強まる可能性は以前から指摘されてきた。ペイジ氏が共同執筆した過去の研究では、女性と肥満の人が特に敏感であることが判明している。
体内にあるすべての細胞は、エネルギー源としてブドウ糖を必要とする。脳は血中に流れる糖分の最大半分を消費する。脳は果物や一部の野菜に含まれるグルコースなど天然に存在する糖に反応するよう進化してきた。
だが人工甘味料は、脳が必要とするカロリーを伴わず、甘味という信号のみを送るために脳を混乱させ、脳がもっと食べるよう信号を送る可能性があるとの仮説が立てられた。
同一被験者、飲料を3回摂取
先月26日に学術誌「ネイチャー・メタボリズム」に発表された今回の研究では、75人の被験者が、水、スクロース(砂糖の主成分であるショ糖)入りの水、スクラロース入りの水の3種類のうち、いずれかの飲料を別々の機会に3回摂取した。
毎回、被験者の空腹時血糖値を測定後、「機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」を用いて脳スキャンを行い、脳活動を観察した。
ショ糖入りの水には、300ミリリットルの水に75グラムのショ糖が含まれていた。これは約470ミリリットルの缶入り炭酸飲料に相当する。
スクラロース入りの水には、ショ糖入りの水の甘さと同等の量のスクラロースが含まれていた。米食品医薬品局(FDA)によると、スクラロースは砂糖の約600倍の甘さがある。
研究チームは、飲料を摂取した被験者の10分後、35分後、120分後の血液サンプルを採取し、被験者に空腹感を自己評価してもらった。
考えられる三つの解釈
研究の結果、スクラロース入りの水が空腹感を約17%高めることが分かったほか、モチベーションを制御する脳の他の部位との結びつきが強化されていたことも確認された。
「スクラロースは意思決定能力に影響を及ぼしている可能性がある」とペイジ氏は説明。意思決定のリスクと報酬を制御する領域である前帯状皮質と視床下部との間の脳のつながりが強化されているのを発見したと述べた。
さらに、スクラロースは脳が満腹感を判断する際に使われるホルモンに影響を与えないことが示された。
「甘味の信号はあるが、満腹感を伝えるホルモンの信号が出ていない。スクラロースはそれらのホルモンに全く作用しない」(ペイジ氏)
予防医学専門医のデビッド・カッツ博士は「インスリン抵抗性がある人は、スクラロースによって正常な食欲コントロールが乱れる可能性が特に高い」と指摘している。
どうすべきか?
人工甘味料に対する体の反応を管理する方法についての推奨事項は、現段階では複雑だとペイジ氏は言う。
「砂糖の代わりにノンカロリー甘味料に頼るのではなく、甘味料全体の摂取量を減らすよう患者には伝えている」(同氏)
カッツ氏もこれに同意し、「本当に健康的な食事にはそもそも添加糖がほとんど含まれていないため、スクラロースなどで『置き換える』必要はない」と述べた。
過去に行われたCNNのインタビューでカッツ氏は、甘みが加えられているとは気づかずに摂取している食品の中に、どれほど砂糖が含まれているかに注目することから始めてみてほしいと語っている。
「サラダドレッシング、パスタソース、パン、クラッカー、塩味のチップスなど、甘くないと思っている食品にも大量の砂糖や甘味料が隠れている」(カッツ氏)
カッツ氏によれば、こうした隠れた甘味料を含まない製品を選ぶことで、1日当たりの糖分や甘味料の摂取量を3分の1、あるいは半分程度まで減らすことができるという。