タッカー・カールソン氏、FOXニュースを去る
(CNN) 米FOXニュースは24日、ゴールデンタイムの番組を通じ共和党に確固たる影響力を発揮していた右派司会者、タッカー・カールソン氏と同社が関係を解消すると明らかにした。メディアと政界を揺さぶる驚きの発表となった。
FOXニュースは短い声明で「司会者として、それ以前は協力者として当社に貢献してくれたことに感謝する」と表明。番組を離れる理由については明かさず、今月21日放送分が同氏の最後の回になったと述べるにとどめた。
カールソン氏は単独の司会者としてはFOXニュースで最も視聴率を稼いでいた人物。本人のコメントは得られなかったが、事情に詳しい情報筋によると、同氏は24日午前に関係解消の決定について知らされたという。
FOXニュースは1週間前、2020年大統領選に関するうそを広めたとして投票集計機メーカーのドミニオン・ボーティング・システムズから起こされた名誉毀損(きそん)訴訟で、7億8750万ドル(約1050億円)を支払うことで和解した。訴訟ではカールソン氏が同僚を批判していたことが判明した。
カールソン氏はFOXニュースのゴールデンタイムの司会者として在任中、共和党内で有数の影響力を持つ人物へと上り詰めた。共和党議員はカールソン氏におもねり、トランプ前大統領は今月ニューヨークで罪状認否に臨んだ後、同氏を相手に最初のインタビューを行った。
近年は陰謀論や過激な言説を広めることでスターダムにのし上がった。20年大統領選の正当性について繰り返し疑念を呈したほか、新型コロナワクチンに関する陰謀論を広め、白人至上主義の話題を前面に押し出した。
名誉毀損防止連盟(ADL)のトップ、ジョナサン・グリーンブラット氏はFOXニュースの決定を称賛。適切なタイミングだとの見方を示し、カールソン氏は「あまりに長い間」、「ゴールデンタイムの番組を利用して反ユダヤ主義や人種差別、外国人嫌悪、反LGBTQ(性的少数者)のヘイトをまき散らしてきた」と指摘した。
ただ、FOXニュースが右派的な言説から大きく距離を取る可能性は低い。FOXニュースによると、カールソン氏の午後8時の枠は他の司会者が交代で埋める見通し。今回の報道を受け、フォックス・コーポレーションの株価は5%下落した。