(CNN) 海底に沈んだ豪華客船タイタニック号の乗客だったジョン・ジェイコブ・アスター4世が身に着けていた金時計が、同船にまつわる記念品として競売にかけられる。アスター4世は財閥のアスター家の一族で、タイタニックの乗客の中で最も裕福な人物だった。
タイタニック号は1912年4月15日、航海中に氷山に衝突して沈没。乗客約1500人が死亡した。当時身ごもっていたアスター4世の妻、マデレインは事故を生き延びた。
当該の金時計の他にも、英イングランド・ウィルトシャーのオークション会社、ヘンリー・オールドリッジ・アンド・サンは注目の記念品を数多く出品する。このうち小型のスーツケースは、船が沈む中演奏を続けたことで知られる楽団のリーダーが弾いていたバイオリンを入れるためのもの。他にもタイタニック号の航海日程を記した手帳などが含まれる。バイオリン本体は2013年、同じオークション会社を通じて170万ドル(現在のレートで約2億7000万円)で落札された。これはタイタニック号関連の品目での過去最高額となっている。
タイタニックの楽団を率いていたウォレス・ハートリーの小型スーツケース/Henry Aldridge and Son Ltd
金時計の予想落札額は10万~15万ポンド(約1970万~2960万円)。小型スーツケースは10万~12万ポンドでの落札が見込まれる。ヘンリー・オールドリッジ・アンド・サンのマネジングディレクター、アンドルー・オールドリッジ氏が明らかにした。入札は27日の現地時間正午に始まる予定だという。
オークション会社によれば、金時計はアスター4世の遺体と共に見つかった所持品の一つ。所持品には金のカフスボタン、ダイヤモンドの指輪、現金、手帳などが含まれる。
アスター4世の遺体を回収した後、これらの所持品は息子のビンセント・アスター氏に送られた。同氏は時計が動くように完全修復。1935年、ウィリアム・ドビン4世の幼い息子に洗礼式の記念として贈った。ドビン4世は、アスター4世の社長室長を務めていた。オークション会社が明らかにした。
オールドリッジ氏はCNNの取材に答え、ドビン家は時計を90年代後半まで所有したと述べた。時計はその後競売にかけられた。
この競売では名前の明かされていない米国の収集家が時計を落札。今回の競売に出品した。以後、時計は複数の博物館で展示されている。
「従って、時計が作られてからの間、文字通り数百万人の人々がこれを目にしてきた。驚くべきことだ」(オールドリッジ氏)
27日の競売ではアスター4世のカフスボタンやタイタニック号の1等客室の図面も出品される。カフスボタンは5000~8000ポンド、客室の図面は2万~3万ポンドでの落札がそれぞれ予想されている。