米国籍持つ子ども3人、母親と一緒にホンジュラスへ強制移送 がん治療中の4歳児も

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移民税関捜査局(ICE)の建物=1月27日、シカゴ/Erin Hooley/AP

移民税関捜査局(ICE)の建物=1月27日、シカゴ/Erin Hooley/AP

(CNN) 米国籍を持つ子ども3人が、それぞれの母親と一緒に移民当局に拘束され、ホンジュラスへ強制移送されたと支援団体が訴えている。子どものうち4歳のひとりはがんの転移で治療を受けている最中だったという。

米自由人権協会(ACLU)など支持団体の25日の発表によると、強制移送されたのは2歳の子どもとその母親、および4歳と7歳の子どもとその母親。いずれも米国に滞在する移民に対して定期的な出頭を義務付けたISAP制度に基づきルイジアナ州の係員と面会した際に拘束されたという。

今回のケースはトランプ政権が移民取り締まりを強化する中で、適正手続きがないがしろにされている現実を浮き彫りにしたと支援者は訴える。

連邦裁判所に提出された緊急申し立てによると、2歳の子どもは22日に定期的な面会のため母親と11歳の姉と一緒に出頭した際に、移民税関捜査局(ICE)に拘束された。訴えは家族の友人が2歳の子どもの代理人となって起こした。

裁判所は、母親については不法移民と判断する一方で、子どもの強制移送については「米市民の強制送還、強制送還のための拘束、強制送還の勧告は違法かつ違憲」とした2012年の判例を根拠として、5月16日に審理の期日を設定していた。

弁護士によると、もう1人の母親の場合、ISAP制度に基づき24日に子どもたちを連れて出頭した際に拘束された。この母親は10年以上もルイジアナ州に住んでいるが在留資格はなく、24日の面会は2人の子ども同伴でパスポートを持参するよう指示されていたという。

ところが出頭すると、母親が子どもたちに付き添うことは認められなかった。20~30分後、弁護士に連絡があり、母子が拘束されたことを知らされた。理由について当局から説明はなかった。

母子の面談の場にICEの係員2人が待機していたことは、後になって分かった。

弁護士はICEのニューオーリンズ事務所を訪れて、親子の強制移送の猶予を申し立てた。その日のうちに、親子が留置されている場所を何度も問い合わせたが、返答はなかった。

25日午前、母子は飛行機に乗せられ、ホンジュラスへ移送された。

「私の依頼人は拘束されてから24時間以内に、私に面会できないまま強制移送された」と弁護士は語る。

支援団体の弁護士によれば、ふたりの母親はいずれも本人不在のまま言い渡された命令に従って米国外へ退去させられた。本人が出廷する機会は与えられなかった。

政府側は裁判所に提出した書面の中で、2歳児の母親がスペイン語で書いたとされる手書きのメモを理由に、母親は子どもをホンジュラスに連れて行くことを望んだと主張した。マルコ・ルビオ国務長官らも27日のインタビューでこの主張を繰り返した。

しかし支援団体の弁護士はこの主張に反論。母親はふたりとも子どもを米国に残すことを望んだが、選択肢を与えられなかったと訴えている。4歳の子どもはまだがんの治療中で、いずれの母子も米国に家族がいるという。

自由人権協会はホンジュラスに強制移送された親子について、母親や妊婦、重い病気を持つ子どもであり、「法に従って指示された通りICEに出頭していた」と指摘。「ICEがこうした母子やキャンパスの学生に対してこんなことができるのであれば、私たちは誰一人として、そうした無法状態から安全ではいられない」と話している。

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