米最高裁の強制送還差し止め、政権が根拠とする「敵性外国人法」とは
(CNN) トランプ米大統領はここ数カ月、18世紀の戦時権限を行使し、不法滞在者を国外退去させるために取られる通常の手続きを回避している。この法律は「敵性外国人法」と呼ばれる。
連邦最高裁が19日、この法律に基づく強制送還を一時的に差し止める判断を下したことで、この法律に大きな注目が集まっている。
敵性外国人法は、米国が他国と戦争状態に陥った場合、または侵略の脅威にさらされた場合に発動される。同法により、政府は移民裁判所制度を迂回(うかい)し、滞在を主張する機会を与えることなく人々を強制送還することが可能になる。
トランプ政権は、ベネズエラのギャング「トレン・デ・アラグア」のメンバーが「米国に不法に侵入し、非正規の戦闘行為を行っている」と主張。同法を用いてベネズエラの移民を強制送還できると訴えているが、法の専門家は懐疑的な見方を示し、人権団体は訴訟を提起している。
最高裁の判断は揺れている。わずか2週間前には、法廷闘争が続く間はトランプ政権による強制送還の実施を許可するとの判断を示していた。しかし先週になってこの問題が再び最高裁に持ち込まれることとなった。移民権利団体が、テキサス州で勾留されているベネズエラ人のうち、以前の命令の対象外となっている人々の強制送還を阻止しようとしたのだ。
最高裁は今回、強制送還を一時的に差し止めた。
政権はこれにただちに反応。最高裁に対し、訴訟が続く間、特定の移民を強制送還するための他の法的権限を求めていることを明らかにした。人権団体の要求を全面的に却下することも要請しているという。
最高裁は政権が手続きを進める前に、より明確な説明を行うと述べている。