米市民権持つ男性、移民当局の指示で留置 その後釈放 米フロリダ州

米移民当局の指示で留置された、米市民権を持つフアン・カルロス・ロペスゴメスさん/Courtesy Sebastiana Pérez

米移民当局の指示で留置された、米市民権を持つフアン・カルロス・ロペスゴメスさん/Courtesy Sebastiana Pérez

(CNN) 米国で生まれて米国の市民権を持つ男性が、移民当局の審査を受けずにフロリダ州に入った「不法滞在外国人」扱いを受けて移民税関捜査局(ICE)に拘束された。男性は同州レオン郡の施設に留置された後、翌日に釈放された。

留置されていたのはフアン・カルロス・ロペスゴメスさん(20)。弁護士によると、乗っていた車が16日の交通取り締まりで止められて、フロリダ州ハイウェーパトロール隊に逮捕された。

ロペスゴメスさんはジョージア州グレイディ郡で生まれ、現在は同州のカイロ在住。自宅から45分ほどの距離にあるフロリダ州タラハシーの建設現場で働くために、州境を越えた。

17日にはレオン郡の裁判所にオンラインで出廷。裁判官には、母親が持参した出生証明書が手渡された。

記者が傍聴した非営利のニュースメディア「フロリダ・フェニックス」によると、裁判官は出生証明書を手に取って光にかざし、透かしを見て、本物の証明書であることを確認したという。

裁判書の記録によると、裁判官はロペスゴメスさんをフロリダ州への不法侵入罪に問う根拠は見つからないと判断しながらも、ICE留置を理由として、自分にはロペスゴメスさんを釈放する権限がないと述べた。

ICE留置では、ICEが法執行機関に対し、「排除可能な外国人を釈放する前に」ICEに通知することや、「その外国人を最大48時間拘束」して国土安全保障省が拘束できる時間的猶予を与えることを求めている。

ロペスゴメスさんは17日夜に釈放された。家族と連携して動いていた移民の権利団体の広報担当者が明らかにした。同担当者はX(旧ツイッター)で釈放に協力してくれた人々への感謝を表明。支援者に囲まれて感極まった様子のロペスゴメスさんの写真も添付した。

弁護士によると、家族にはICEから、ロペスゴメスさんは17日夜に釈放される見通しだとの説明があったという。

支援団体の関係者によれば、ロペスゴメスさん逮捕の根拠とされたフロリダ州の法律は、「移民当局による審査や検査を免れて米国へ入国した後、そうと知りながらフロリダ州に入った18歳以上の不法移民」を罰する内容で、今年2月にロン・デサンティス州知事の署名で成立した。しかし今月に入り、裁判官が同法の一時的な差し止めを命じていたという。

「ホラーの連続だ」と支援団体代表のアラナ・グリア弁護士は憤る。「米国民はもちろんのこと、誰であれこの法律に基づき逮捕されることがあってはならない」

同弁護士はロペスゴメスさんの釈放前、「裁判官も検察も、保安官も刑務所も、みんなお手上げ状態だ。『ICEから彼を留置しろと言われたので、留置を続ける』と。彼が米国民だという事実に誰も異を唱えていないのに。つまり、今現在、彼らは米国民を不当に留置している。根拠となる罪状は退けられた。彼が留置されている唯一の理由は、ICEが『この人物を我々のために留置しておいて下さい。あとで我々が迎えに行くので』という紙切れ一枚を送ってよこしたからだ」と指摘していた。

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