米政権の強制送還、法廷侮辱罪に問う「相当な理由」 連邦地裁
(CNN) 米政府が先月「敵性外国人法」に基づいてベネズエラのギャングメンバーを強制送還した問題で、ワシントン連邦地裁のボースバーグ判事は16日、送還の一時差し止め命令を無視したとして、トランプ政権の職員を法廷侮辱罪に問う「相当な理由」があるとの判断を示した。
トランプ政権はボースバーグ氏を繰り返し批判しており、注目されていた今回の同氏の判断で政権は裁判所の命令を守らなかったとして罰せられる可能性が高くなった。
政権が先月15日に敵性外国人法の適用を発表したことを受け、連邦地裁は同日、送還の一時差し止めを指示したほか、対象者を乗せた航空機についてもただちに米国へ戻るよう命じた。
ボースバーグ氏は46ページにわたる判決文で、「政府のその日の行動は意図的な命令無視を示しており、政府が法廷侮辱罪を犯したと判断する相当な理由があるとの結論に至った」と説明した。
また、結論を急いだわけではないとし、政府側に行動を是正したり説明したりする機会を与えたが、「回答はいずれも満足のいくものではなかった」と指摘した。
今回の判決について、CNNの最高裁アナリストを務めるジョージタウン大学ロースクール教授のスティーブ・ブラデック氏は「連邦政府職員に対する法廷侮辱罪は前代未聞だ」と述べた。また、「ボースバーグ氏が慎重に進めているのは部分的に、政府の不正行為を見逃すことなく、上級裁の抵抗を招かないようにするという、危ない橋を渡っているからだ」と解説した。
米NPOの自由人権協会(ACLU)と共に提訴したデモクラシー・フォワードの弁護士は「今日の判決は今回の政府の行為は違法で、人々や憲法に対する脅威だということを認めている」と歓迎した。