米デル、EMCを8兆円で買収 IT業界で最大規模
ニューヨーク(CNNMoney) 米パソコン大手のデルは12日、法人向けソフトウエアやストレージ大手のEMCを670億ドル(約8兆円)で買収することで合意したと発表した。IT業界では過去最大の買収規模となる。
デルはEMCの買収によって、消費者向けのパソコンメーカーから法人向けのIT企業へと転換を図る。
EMCはストレージ機器の世界最大手。サーバーの製造も手がけ、セキュリティー企業のRSAを傘下に持つほか、仮想化ソフト大手ヴイエムウェア株式の81%を保有する。
デルは声明の中で、「デルとEMCの提携により、企業向けソリューションの巨大企業が形成される。新会社は戦略性の高い次世代ITの分野で極めて優位な地位に立つ」との見通しを示した。
ただ、ここ数年は新技術が台頭する中で、両社とも苦戦を強いられている。
EMCは企業のデータセンター向けのストレージ機器で業績を伸ばしてきたが、今では米アマゾン・ドット・コムなどの各社が提供するクラウドサービスでデータ保存のコストが下がり、企業が自前で運用するデータセンターは主流から外れつつある。
一方、サーバー製造で世界2位のデルも、アマゾンやグーグル、マイクロソフトなどが提供する企業向けファイルストレージサービスを利用する企業が増える中、EMCと同じ問題に直面している。
EMCは株価が下落して株主からの圧力が強まり、デルは株式の非公開化を強いられて多額の負債を抱える。EMCの買収後も、当面の間は非公開化を続ける方針。ヴイエムウェアは公開を継続する。